コンビニ的な生き方を肯定してみるのはどう?
こんにちは、さとありです。
本も映画もコミックもどっさり読んでいるにもかかわらず…
こんなに月日が流れてしまい、私は三日坊主もいいとこだと痛感中です。
今年、ブックオフで見つけまして読んだ本を紹介します。
タイトルに惹かれて購入しました。
■さとあり解釈のあらすじ
主人公の古倉恵子は、社会にうまく馴染むことのできない36歳の女性。
自分でも「私は人とは何かが違う」と思っているが、それで生き辛いとは思ってもいないし、自分のことで何か言われてもどことなく他人事のようだ。
学校生活で居心地の悪さを感じてはいたものの、それに対処することなく大人になってしまった。
そしてコンビニで働くようになって、「自分の生きる場所」はここなんだと感じている。
18年変わらずコンビニで働き続けることに居心地が良いと思っている。
けれどさすがに30半ばでアルバイトで生計を立てている女性は、周囲からは異質の存在だと扱われている。
恋人すらおらず結婚するつもりもない、でも周囲は「結婚や育児が女の生き方」という風に恵子に押し付けてくる。
そんな恵子の前に現れたのは、同じように社会からは異質の存在として扱われている白羽だ。
白羽はなんと婚活の一環としてコンビニで働くことにしたのだという。
恵子のことは全くタイプではないし女としてみることもできないというが…。
コンビニ店員として平穏な生活を送っていた恵子の生活は変わっていくのか否か?
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■読書レビュー
さて。
この村田沙耶香さん、第155回芥川賞を受賞しているんですね。
私はあんまり期待せずに読んだのですが、、
文章も読みやすく、平易すぎず、良かったです。
恵子の心理描写がもうロボットすぎて面白い。白羽にも大抵の人は腹が立つと思うんですが、何故か恵子はそういう感情すら欠如しているんですよね。
恵子のことが心配になる周囲の気持ちも分かるし、周囲からすれば病んでいる恵子(本人はそうは全く思っていない)を少し離れた場所から見ている。
本を読む時って人は感情移入することが多いかと思うのですが、こんなに感情移入できない主人公ってそうそういないのじゃないかな。
帯には「普通とは何か? 現代の実存を軽やかに問う衝撃作」とあります。
周囲の人とは恵子に対して「普通であること」を押し付けます。
でも恵子は感覚が周りと違うから、その普通が分からない。
特に日本人は 「人と同じ」ことにほっとする民族だと思います。
だから 異質な人がいると 不安になる。
スイミーみたいに??
私も他人に対して「普通は~」というのを押し付けないようにしなきゃなぁと感じます。
自分の常識、他人の非常識 ってやつですか。
恵子のアイデンティティが「個性」と捉えられるには、小さいコミュニティでは不可能でしょうね。